「在宅勤務でチームを守れ」AppsFlyer大坪氏がコロナ禍で下した決断

2020年3月、カントリーマネージャの会は「危機状況下のカントリーマネージャ」というテーマで定期イベントを開催しました。イベントレポートを全5回でお届けします。第2回は、Appsflyer 大坪さんが、今回のコロナ禍について「有事の経営」を語ります。

坂本:ここから本題ですね。

本日のテーマとして、「有事の経営」をみなさんからお伺いできればと思います。

順番に「過去こういう危機がありました、その時にこういう風に対処しました」というお話をお聞きしたいです。適宜インタラクティブにやっていきましょう。

あいうえお順で、大坪さんから順番に「こういう危機あったよ」や、現在進行形で「今、こういう危機です」といったお話をいただければと思うのですが、いかがでしょうか?

大坪:みなさんご存知の通り、新型コロナウイルスの感染拡大をうけて、AppsFlyerでは世界中で今 Work from Home(在宅勤務)をやっています。


大坪 直哉 / Naoya Otsubo
AppsFlyer Japan株式会社
カントリーマネージャー

大学卒業後、舞台俳優の道へ。33歳の時に検索連動型広告の大手、米Overtureに入社。2011年4月より2年間ビジネス・ブレークスルー大学大学院に通い、MBAを取得。12年に仏Criteoに転職し、アジア太平洋地域担当ディレクターとしてマーケットシェア拡大に貢献する。15年8月よりAppsFlyerの日本カントリーマネジャーに就任。坂本氏と共にTokyo MXで放送中「話題のアプリええじゃないか!」で先生役で活躍中。前ビジネス・ブレークスルー大学大学院同窓会会長。


当初、中国以外では弊社も結構のんびりしていました。実は今回、中国を除くと在宅勤務を始めたのは日本が最初なんです。

僕がかなりの勢いで本社と交渉して、このウィルスの影響は絶対に大きくなるから、今リモートワークしないとまずいぞと話しました。

本社からは、「日本政府のアナウンスメント待ってからでいいのでは?」という風に言われたんですけど、「違う、絶対に今やるべきだ!」と反論して、中国の次に日本がリモートワークを始めたんです。

坂本:タイミングとしては、どれくらい感染が拡大してた時期でしたか?

大坪:2月24日からワークフロムホームの許可が出ました。まだそこまで感染が爆発してはいない時だったんですけど、2月21日の金曜日・22日の土曜日くらいから激しい勢いで議論しました。そのあと、韓国でバーンと爆発的に感染が始まったため、韓国も「俺たちも実はやばくなった」と追随しました。

その後、企業のオールハンズ(全社会議)があったんですけど、その時にCEOからもフィードバックくれてありがとう、と感謝されました。おかげで僕たちの考え方も改まったって言ってもらえて。

本社はイスラエルで結構交渉がタイトなのですが、結果的に言ってくれて本当にありがとうと感謝されました。

今回のテーマに引き戻して言うと、日本の状況は日本のメンバーがやっぱり一番わかってるし、いくら英語でいろんなニュースで配信されてるとは言っても、リアルな状況がどうしても本社のメンバーに伝わっていない時があると思うんですよ。

特にこういう危機時に、一般的にはですけれど、日本人は発言の頻度と強さがやっぱり少し弱いじゃないですか。

ただ、危機下において「本当にそうじゃないんだ、(在宅勤務を)やらなきゃダメなんだ」ということを強く主張・交渉して自分たちの社員を守ることができました。

私は、日本の代表なので、そのピープルファーストの気持ちを忘れずに自分のチームを守り、同時に会社の成長を最終的には担保しながら、しっかりと日本で起こっている危機を伝え納得させて、本社に行動を起こさせるのが、カントリーマネージャーの重要な役割のひとつなんじゃないかなと、今回改めて思いました。

坂本:大坪さんの責任の1つとして「売り上げを伸ばす」ことがあると思うのですが、それに対してネガティブに働いてしまうかもしれない意思決定に至った、大坪さんの思考の経緯をお伺いしたいです。

大坪:やっぱり会社のビジネスを担ってくれているのは従業員、チームメンバーだという意識がすごくあります。

仮に自分のチームメンバーや家族が感染したり、会社の中や近くで感染が起こってしまったりしたら、もうそこで会社の機能がストップすると思うんですね。

例えば、お取引先にも影響が出てしまうかもしれないし、パートナーにも影響が出てしまうかもしれない。

ビジネスよりも、まず人にフォーカスして、自分たちのチームメンバー、従業員の健康安全を守るというところにフォーカスしました。

もし僕たちが健康であれば、経済的なビハインドはどこかのタイミングで取り戻せると思います。でももし、本当に僕たちの健康とか命が損なわれてしまったら、もう取り返しが付かないと思うんですね。

うちのCEOも同じ考えで、ピープルファーストという考えなんですね。なので、そこに関して僕一人で空回りして話をしていたわけではないです。

もちろん最初の交渉フレーズはあったものの、一回腹落ちしてくれた後は会社と同期して、しっかりとサポートしてくれて、今回のアクションに繋がったなと思います。

坂本:さっき大坪さんも仰いましたが、日本人が諸外国に比べると主張する人があまり多くないと思うんです。

それをあえて主張しようと至ったのは、例えば大坪さんが過去にそういうことをやらなくて後悔した経験や、自分がカントリーマネージャーではなかった頃に、上司の方々のアクションが良かった/上手く行かなかった経験を踏まえてでしょうか?

大坪さんが今回行動できた経緯を伺ってみたいです。

大坪:Overtureに勤務しているときに、上野正博さんという、通称マックスさんと呼ばれてますけど、「元祖カントリーマネージャー」みたいな方がいました。

伝説の営業マンとしてリクルートで働かれた後に、ずっと取締役や社長といった要職ばかりやられてる方がいらっしゃるんですが、その方を見て、日本人でもこんなに凄い人がいるんだ、こういう人にずっとなりたいなとは思ってましたね。

一般的に、日本人は日本のレベルで留まっていて、APACレベルで活躍している人もすごく少ないと思うんですけど、上野さんはAPACレベルでチームをマネジメントしてる人でした。

彼が僕のロールモデルとしてあって、Criteoに上野さんから声をかけて頂いて参画を誘われたときに、じゃあ、僕もAPACマーケットを見たい(働きたい)とお伝えしました。

APACチームで働き始めて、最初は日本だけを管理していたのですが、韓国・オーストラリアを見るようになってから、自分のコミュニケーションスタイルがすごく日本人的なんだなぁと痛感しましたね。

他の地域に携わる・多国籍なチームに入って行く中で、自分の従来の”日本人スタイル””に、こだわるのではなくて、グローバルのピープルマネジメントの仕方や交渉のスタイルを学んでいかなければいけないなと感じました。自分の中で色んな失敗を繰り返しながら身に着けていった感じです。

Criteo勤務時は、先ほど話した上野さんのそばで働きましたので、彼のスタイルを横で見ながら身に着けました。

加えて、僕の元上司でもあって、達夫さんの元上司でもある、Smartlyで働かれていたティム・フランコムがもう超絶ネゴシエーターだったんです。

上から「おまえそれちゃうやんけー!」みたいなトーンで話してくる人なので、彼と働いて鍛えられたというのもありますね。

坂本:なるほど!

大坪:ティム・フランコムの下で多くの方が働いてたんですけど、どんどん辞めていきました。で、残ったのが僕ともうひとりのロンドンにいるディレクターで、二人で「俺とお前だけだよな、生き残っているのは」とよく言っていました(笑)。

ただ、彼の下でファクトベースで話をするというスキルが凄く鍛えられて、ちゃんとデータを用意して、それを見せて説得する・反論する・許可を得る経験が貴重でした。

坂本:やっぱりカントリーマネージャーになっていきなり、そういった力が付いているというより、それより前にハードに交渉してきたという下積み時代があって力を鍛えられていったわけですね。

大坪:そう思います。ティム・フランコムには、今も凄く感謝しています。

坂本:ありがとうございます。

(続)


登壇者情報

CountryManager.jp Meetup Spring 2020

– 登壇者 –
大坪 直哉 / Naoya Otsubo
AppsFlyer Japan株式会社
カントリーマネージャー

大学卒業後、舞台俳優の道へ。33歳の時に検索連動型広告の大手、米Overtureに入社。2011年4月より2年間ビジネス・ブレークスルー大学大学院に通い、MBAを取得。12年に仏Criteoに転職し、アジア太平洋地域担当ディレクターとしてマーケットシェア拡大に貢献する。15年8月よりAppsFlyerの日本カントリーマネジャーに就任。坂本氏と共にTokyo MXで放送中「話題のアプリええじゃないか!」で先生役で活躍中。前ビジネス・ブレークスルー大学大学院同窓会会長。

小川 高子 / Takako Ogawa
パナリット・ジャパン
共同創業者 / CEO

新卒でワークスアプリケーションズに入社後、Google Japanに入社し、採用・人材開発業務に従事。2014年に同社内にてMOST INNOVATIVE & CREATIVE AWARDを受賞。2015年よりGoogle 米国本社にてStrategy & Ops部における シニアプロジェクトマネジャーとして、Googleの全社的な人事戦略業務に従事。現在はピープル・アナリティクス専門のBIソリューション、Panalyt(パナリット )の日本法人代表を務める。

児玉 太郎 / Taro Kodama
CEO & FOUNDER OF ANCHORSTAR/
KICKSTARTER JAPAN COUNTRY MANAGER

幼少期を米国で過ごし、1999年に当時は 社員数100名のベンチャー企業であったヤフー株式会社に入社しソーシャル系サービスの展開責任者に従事。
2010年にFacebook Japan株式会社の日本の一号社員としてカントリーグロースマネージャーとして就任。電通、リクルート、KDDIなど、日本企業との戦略的協業契約などを経て、アクティブ利用者数100万人に満たなかったFacebook Japanを4年間で2,000万人規模のサービスに成⻑させた。
日本と米国での生活経験、日本企業と米国企業での職務経験、また2つのベンチャー企業が大企業に成⻑する中で得た経験を活かし、より多くの海外企業の日本進出を支援するとともに、グローバル人材の育成、日本企業のグローバル進出を目的に、アンカースター株式会社を設立。
現在、Kickstarterのジャパンカントリーマネジャーを兼任。

– モデレータ –
坂本 達夫 / Tatsuo Sakamoto
Smartly.io
Head of Sales, Japan

2008年に東京大学経済学部を卒業後、楽天、Google、AppLovinを経て、2019年2月より北欧のマーケティングテクノロジー企業Smartly.ioに参画。日本第1号社員・事業責任者として日本展開をリードしている。
実益を兼ねた趣味として、累計30社以上のスタートアップにエンジェル投資を実行。
新サービス・アプリ紹介番組「ええじゃないか」(TOKYO MX)にMCとして出演中。