起業家志望にもお勧めしたいカントリーマネージャーの 0→1経験(メディアマス富松氏)

2019年12月、カントリーマネージャの会は「生き方としてのカントリーマネージャ」というテーマで定期イベントを開催しました。イベントレポートを全5回でお届けします。第2回は、多くの外資系スタートアップに携わってこられたメディアマス富松さんがカントリーマネージャーの醍醐味について語ります。


高橋: 井戸さん、自己紹介とアンカーへの参画のお話ありがとうございました。この会の目的の 1 つに、カントリーマネージャになるハードルをなるべく下げようというのがあったのですけど、今の話を聞くと、給料払われないような環境に行きたくないという風になってしまいますね(笑)

(会場笑)

では、次に富松さんお願いします。できるだけハードルが上がらない形で(笑)、カントリーマネージャへの参画エピソードを頂ければありがたいです。

富松: 富松です、宜しくお願いいたします。

【プロフィール】
富松 敬一朗
メディアマス日本法人
代表

新卒でP&G マーケティング部に入社、その後ロイター通信社(シドニー駐在)、Citibank、GE キャビタル、20 世紀フォックス映画社 (現Walt Disney Studios)、Google 等で営業、マーケティング責任者を経て英国、インド発の IT 企業 2 社の日本法人設立、直近は英国 DAZN メディア日本法人代表。日本アカデミー賞、東京インタラクティブ・アドアワード、電通広告賞 等多数受賞。第 1 回 ad tech tokyo 2009 の advisory board member。豪州 #1 マクオーリー経営大学院 MBA 修了。

私はこのような経歴です。P&G のマーケティングからキャリアをスタート、金融機関に移った後も一貫してマーケティングやストラテジックプランニング等を仕事としてきました。

その中で、GE キャピタルでネット消費者金融とネットクレジットカード会社、20 世紀フォックス映画で VOD 会社のスピンアウトをプランニングしたのですが。

やはりグローバルで歴史ある会社から新事業を興すのはなかなか難しく、ベンチャーとの違いを感じました。2000 年頃は、そういう状況でした。今とは時代も異なりますね。

左:富松 敬一朗 氏(メディアマス日本法人)

大企業にいると安定はするんですけど、社内政治、会社方針の話だったりが多くて、そこで一度ベンチャーに出てみようということで Google に入りました。

そこから人生が変わったというほどではないですけど、ベンチャーのビジネスに携わるマインドに変わってきました。Google に入って以降は、4 社のカントリーマネージャをやってきています。

これらのカントリーマネージャ職はどうやって得たのと言われると、全部 LinkedIn 経由の e-mail や電話を通じた直接のスカウトです。それ以前は、Korn Ferry とか、Egon Zehnder といった、エグゼクティブのヘッドハンティングから誘いがあってインタビューを受けていたのですが、Google を含めて、その後は全部ピンポイントで「うちの会社に来ないか?」と誘われた形になります。

高橋:直接アプローチされた方々は、なぜ富松さんの連絡先を知っていたんですか?

富松:以前仕事を一緒にして私をよく知っている人からのご紹介だったり、LinkedIn で一本釣りをされていたりするようですね。

ヘッドハンティング会社に頼んでいたら全部やってくれていた交渉を、全部自分でしないといけないので、少し大変にはなりました。

井戸さんが先ほど言われていたように、お金の話だとか資金の話だとか、株いくらもらうんだとか、日本に進出する会社の意向など細かい点を全部交渉しないといけないと。

例えば、海外には退職金等の制度がないので、税理士だとか弁護士に力を借りながら、そういった仕組みも自分たちで必要であれば全部作っていかないといけません。

ここにいる皆さん、既に経験済みの方も含めて、1 度は自分たちで創業・起業したいと思われている方々も多いのではないでしょうか。

その場合、カントリーマネージャをやることは、無料で勉強できると思ったらすごく楽しいですね。自分で創業したいという方たちにとっては、(カントリーマネージャは) お金をもらいつつ、創業に関連した色々なことが学べて、次のステップになるという気持ちでやればいいのではないかと思います。

私は、4 つの会社のカントリーマネージャを経験してきているんですが、ゼロから日本でスタートしたほうがめちゃ楽しい、ということもお伝えしたいですね。

私が今所属しているメディアマスという会社、直近の DAZN メディアも (日本法人ができきて何年か後で) 途中から入社したのですが、入社時点では大体業績がうまくいっていないことの方が多い。

その良くない流れを止めるというのは、倍大変です。下手すると 3 倍以上の力が要ります。更に言うと、そのまま会社が沈んでしまったら、オフィスそのものをクローズ (閉鎖) することになってしまいます。

私も 1 度経験したこともあるんですけど、閉鎖は立ち上げるよりはるかに大変です。みんなに現状を説明し、今後のタイムラインを決め、日本的なことかもしれませんが社員の次の就職先なんかも世話をして、自分は最後に出ていくといった感じでした。

アメリカだと社員の半分をリストラして、自分だけ残っていくみたいなことが起きるのですけど、日本でそれをやると皆に総スカン食うようなパターンが多いようです。日本的な美学のお話ですが。

途中でのカントリーマネージャ就任は「うまくいっていない」状況が多く、V 字回復には負荷が 2 倍から 3 倍かかるので、覚悟を持って入られたほうがいいとは思います。

左:富松 敬一朗 氏(メディアマス日本法人)

まあ、1 度カントリーマネージャを経験して、仮にその会社がうまくいかなかったとしても、評判が良ければいくらでも次の仕事はありますし、キャリアとしても全然心配ないと思います。

その経験を持って、自分ないしは仲間内で創業、もしくは日本企業とのパートナー (JV) みたいな形で事業を創っていくというのも次のステージとして面白いと思います。

高橋:ありがとうございます。

(つづく)


登壇者情報

Country Manager Year End Party 2019

– 登壇者 –
井戸 義経
アンカー・ジャパン株式会社代表取締役
2002 年東京大学経済学部経営学科卒業。同年ゴールドマン・サックス証券会社に入社し、投資銀行部門にて顧客企業の M&A 取引、資本市場での調達のアドバイザリー業務に従事。その後 2006 年にプライベート・エクイティ投資会社の TPG キャピタルに入社。日本企業への投資ならびにバリューアップに取り組む。2013 年、Anker グループの日本法人を設立し代表に就任。6 年で売上高 100 億円を突破する事業に成長させる。剣道五段。

富松 敬一朗
メディアマス日本法人代表
新卒でP&G マーケティング部に入社、その後ロイター通信社(シドニー駐在)、Citibank、GE キャピタル、20世紀フォックス映画社 (現 Walt Disney Studios)、Google 等で営業・マーケティング責任者を経て、英国、インド発の IT 企業 2 社の日本法人設立、直近は英国 DAZN メディア日本法人代表。日本アカデミー賞、東京インタラクティブ・アドアワード、電通広告賞 等多数受賞。第 1 回 ad tech tokyo 2009 の advisory board member。豪州 #1 マクオーリー経営大学院 MBA 修了。

新宅 暁
Wolt Japan 株式会社マーケティングマネージャ (日本法人 1 号目社員)
Twitter にてダイレクトレスポンス広告の戦略をリードした後、ユニクロ、Apple にてマーケティングに従事。2019 年 11 月フィンランド ヘルシンキをベースにフードデリバリーを展開する Wolt の日本支社に第 1 号社員として入社。

– モデレータ –
高橋君成
RTB House Japan 株式会社Sales Director
外大卒業後、新卒でリクルートに入社。その後アドテク業界に入り、Criteo, Appier を経て 2018 年 1 月よりポーランド発のリターゲティング広告企業 RTB House に日本 1 号社員として参画。参画から 2 年で日本を「RTB House のグローバルで最も成長している市場」にまで牽引。